天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

晩秋の俣野別邸庭園

俣野別邸庭園にて

私が住む横浜市戸塚区東俣野町に、旧住友家俣野別邸を基にした俣野別邸庭園がある。この庭園については、今年4月20日のブログでご紹介済であり、折に触れての散策で目にした草花についても詠んでいる。今回は紅葉の情景である。庭園内には銀杏をはじめ欅など落葉樹の大木があるので、晩秋の紅葉はみごとである。旧住友家俣野別邸は昭和14年に建設されたのだが、森の大木は、もともとあったものを利用したに違いない。
俣野別邸を建築したのは住友友成男爵であった。20代で住友本社社長となるが、先代友純氏と同様に銅鉱山業、金融業を中核にした住友グループの事業には直接タッチせず、精神的な支柱としてグループを統治した。住友友成氏は公卿の流れを汲む繊細で感受性が強い風流人であり、大戦中から詩歌に傾注し、戦後は歌人として暮らしていたようだ。
(参照: 湘南文化よもやま話:湘南を愛した人々
 https://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=547


     をちこちにもみぢの銀杏目立ちたり
     別邸のもみぢの森をめぐりけり
     大木の紅葉を洩る夕日光


  季くれば赤に黄色に色変へる庭園の木々幾年を経し
  黄葉のひときは目立つ大銀杏経し年月をあらためて思ふ
  庭園の時のうつりを歌に詠む財閥なれど仕事を継がず
  別邸の主人の日々をなぐさめしさまざまの木々もみぢ忘れず
  大磯の別邸俣野の別邸も焼失したり誰のしはざか