天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

晩秋の瑞泉寺

鎌倉瑞泉寺にて

今年の紅葉の見納めと決めて鎌倉の瑞泉寺に行った。毎年この時期に来ているので、見逃すと心残りになる。風が強いわけでもないのに、周囲の林から枯葉が音立てて舞い落ちてきた。ジャンパーの襟を立ててジッパーを引き上げた。
受付で200円の拝観料を払い、石段を登って山門に向かう。この参道の空を覆う木々の紅葉が最初の見どころ。分けても山門から見返り仰ぐ黄葉の広がりは圧巻である(右の画像)。
紅葉だけに注目するなら、すでに過去のブログでご紹介したが、本堂裏手に立つ紅葉も見どころ。瑞泉寺のある場所は紅葉ケ谷というだけあって、昔から紅葉の名所であった。
瑞泉寺庭園の真髄は、本堂裏手にある。それが受付でもらう入場チケットに書かれている。開山の夢想国師が造ったという。境内の北の一隅の岩盤の正面に大きな洞(天女洞)を彫って水月観の道場となし、東側には坐禅のための窟(坐禅窟・葆光窟)を穿った。天女洞の前には池(貯清池)を掘り、池の中央は掘り残して島とした。池の背後の山をたどれば、さらに上方の庭園に出るらしいが、残念ながら現在は非公開。


     音立てて枯葉舞い散る瑞泉寺
     山門を入りて見返るもみぢかな
     山門の空に迫るや大黄葉
     本堂の裏手に見上ぐ紅葉かな
     岩壁の下に池ありもみぢ映ゆ
     瑞泉寺今年もみぢの見納めに


  枯葉ちる紅葉ケ谷の瑞泉寺今年もみぢの見納めと来し
  山門に着きて見返る谷戸の空光透かして黄葉ひろがる
  山削り岩壁うがち洞(ほら)、池を造りし庭師夢想国師
  岩壁をうがちてなりし天女洞池に映れる紅葉に対す