天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

霊魂のうた(3)

火祭り(webから)

以下の歌々では、霊魂が肉体とは別に存在する感覚を詠んでいる。春日井建の歌と塚本邦雄の一首目は有名。


  外套のままのひる寝にあらはれて父よりほかの霊と思えず
                       寺山修司
  火祭りの輪を抜けきたる青年は霊を吐きしか死顔もてり
                       春日井建
  魂はいづれの空に行くならむ我に用なきことを思ひをり
                       島木赤彦
  魂よいづくへ行くや見残ししうら若き日の夢に別れて
                       前田夕暮
  馬を洗はば馬のたましひ冴ゆるまで人恋はば人をあやむるこころ
                       塚本邦雄
  わかもののかをり飛び散る秋霰たましひの檻ありつつ見えぬ
                       塚本邦雄
  魂をいづべに置かな移り来て方形の家に棲みつかむとす
                       高嶋健一
  いづべより還り来ましし英霊(みたま)かも京都の駅に迎へられたまふ
                       川田 順