天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

色を詠む(2/4)

  秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらむ
                        和泉式部
  知られじとそこら霞の隔てしに尋ねて花の色は見てしを
                        和泉式部
  梅の花香はことごとに匂はねどうすく濃くこそ色は咲きけれ
                   後拾遺集清原元輔
  あさみどりみだれてなびく青柳のいろにぞ春のかぜも見えける
                   後拾遺集藤原元真
  見せばやな雄島の蜑(あま)の袖だにも濡れにぞぬれし色はかはらず
                  千載集・院富門院大輔
  わりなしや思ふ心の色ならばこれぞそれとも見せましものを
                   千載集・前斎宮河内
  ころも手におつる涙のいろなくば露とも人にいはましものを
                 千載集・二条院内侍参河

 

 後拾遺集のふたり以外は女性歌人であり、作品はみな心が苦しくなる恋歌である。
 和泉式部帥宮(そちのみや)・敦道親王と溺愛関係になり、二人とも本来の家庭を台無しにしたことで知られる。
 院富門院大輔は俊恵の歌林苑の一員で、西行らと交流した。多作ぶりから「千首大輔」とよばれ,「千載和歌集」以下の勅撰集に63首がとられている。

 

f:id:amanokakeru:20181115071841j:plain

青柳