天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

滝のうた(1/6)

養老の滝(webから)

2014年7月21日のブログ「和歌に詠まれた滝」他で、折に触れて滝の作品を取り上げたが、このシリーズでは、現代までを含めて短歌の場合をまとめてみた。
滝は奈良時代には「たぎ」と濁った。滝には、激流と垂水の二態がある。澪は滝水の流れるところ。
語源は「たかき(高)」「とき(疾)」あるいは「たぎつ(激)」。大伴家持の歌にある田跡川は、養老の滝を源とする川で、現在の養老川のこと。


  幾多(いくばく)も降らぬ雨ゆゑわが背子(せこ)が御名(みな)の
  幾許(ここだく)滝もとどろに   万葉集・作者未詳


  神の如(ごと)聞ゆる滝の白波の面(おも)知る君が見えぬこのころ
                  万葉集・作者未詳
  石走(いはばし)る滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ
                  万葉集・大石蓑麿
  田跡川(たどかわ)の滝(たぎ)を清みかいにしへゆ宮仕へけむ
  多芸(たぎ)の野の上(へ)に    万葉集大伴家持


  落ちたぎつ滝のみなかみ年積り老いにけらしな黒きすぢなし
                  古今集壬生忠岑
  おもひせく心のうちの滝なれやおつとは見れど音のきこえぬ
                   古今集三条町
  こきちらす滝の白玉ひろひおきて世の憂きときの涙にぞ借る
                  古今集在原行平
  春立ちて風や吹きとく今日見れば滝の澪(みを)より玉ぞ散りける
               古今和歌六帖・紀 貫之