天皇(1/2)
来年は天皇の譲位が予定されている。天皇とは、日本国憲法に規定された日本国および日本国民統合の象徴たる地位、または当該地位にある個人。7世紀頃に大王が用いた称号に始まり、歴史的な権能の変遷を経て現在に至っている。
古くは「すべらき」「すべらぎ」「すめらぎ」「すめろぎ」「すめらみこと」などと呼んだ。語義に関し〈スメラ〉を〈統(す)べる,統治する〉ととるのが定説。
天皇(てんこう)といえば、中国古代の伝説上の帝王を指した。日本における天皇は、日本国憲法で定められた日本国および日本国民統合の象徴と定義されている。明治憲法では、国の元首として統治権を総攬 する地位にあった。
天皇(すめろき)の御代栄えむと東(あづま)なる陸奥(みちのく)山に
黄金(くがね)花咲く 万葉集・大伴家持
天皇を泣きて走れる夜の道の草いきれこそ顕(た)ちくるものを
岡井 隆
床(とこ)の畳あぐれば敷かれいし新聞紙のうすき茶いろは天皇らしき
香川 進
猫背して冬の渚を歩み給ふ天皇をはや疎まざるべし
小国孝徳
咳を恐れつつわれは立つ天皇を迎へむと清掃されし積荷場
竹山 広
天皇は人にし在せば老い給ひあるひは死をも怖れたまはむ
竹山 広
奸を討ちし青年将校を罰し北を罰し天皇はいかになりゆきたまふ
高野公彦
二首目の岡井隆の歌(『眼底紀行』)を、一ノ関忠人はもっとも大切なものの一つだ、と高く評価している。一ノ関の鑑賞を以下に引用する。
「敗戦を知ったその夜、やりばのない思いにあてもなく駆け出す。周囲は夏のあら草が繁茂して、その昼間の熱がまださめやらず、熱気を発する。その荒草原の熱気の顕在化こそが、敗戦の日の記憶の徴なのだ。」
[参考]三種の神器: 天皇が皇位のしるしとして,代々伝えた3種の宝物で、八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣からなる。玉は初めのままだが、鏡と剣は模造品という。