一茶俳句と古典(1/3)
■一茶俳句には、芭蕉や蕪村の句に多く見られる古典(日本の古典や漢籍)を踏まえた
作品もある。芭蕉の『奥の細道』や『幻住庵記』を踏まえた句も多く見受けられる。
象潟もけふは恨まず花の春
*『奥の細道』「松島は笑ふがごとく、象潟はうらむがごとし」を踏まえる。
蓮の花虱を捨(すつ)るばかり也
空山(くうざん)に蚤を捻(ひねつ)て夕すずみ
*いずれも『幻住庵記』「空山に虱を捫(ひね)つて座す」を踏む。
門の木も先(まづ)つつがなし夕涼
*『幻住庵記』「先づたのむ椎の木も有り夏こだち」に拠る。
秋の夜や隣を始しらぬ人
*芭蕉句「秋深き隣は何をする人ぞ」を踏む。
宗鑑がたふばも見たか鉢敲(はちたたき)
*芭蕉句「長嘯が墓もめぐるか鉢敲」のパロディ
春風や鼠のなめる角田(すみだ)川
*芭蕉句「氷苦く偃鼠が咽をうるほせり」を踏む。
馬上からやあれまてとや時鳥
*芭蕉句「野を横に馬牽むけよほととぎす」のパロディ。
朝がほに涼しくくふやひとり飯
*芭蕉句「あさがほに我は飯くふおとこ哉」を踏む。