天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

平安・鎌倉期の僧侶歌人(4/17)

恵慶(えぎょう) (生没年未詳)
 平安時代中期の僧、歌人大中臣能宣,紀時文,清原元輔平兼盛曾禰好忠安法法師らと交流し,和歌史上先駆的な作品を詠む。

[生活感]
  八重(やえ)葎(むぐら)しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり                 

                                 拾遺集
  桜ちる春の山べは憂かりけり世をのがれにと来しかひもなく    恵慶集
  わが宿のそともにたてる楢の葉のしげみにすずむ夏は来にけり  新古今集
  ふるさとへゆく人あらば言伝(ことづ)てむ今日うぐひすの初音聞きつと      

                                 恵慶集
[旅の感懐]
  ふるさとへゆく人あらば言伝(ことづ)てむ今日うぐひすの初音聞きつと     

                                 恵慶集
 *「故郷へ行く人があったなら、伝言しよう。今日逢坂で鶯の初鳴きを聞いたと。」
  わぎもこが旅寝の衣うすき程よきて吹かなむ夜はの山風     新古今集
 *「我が妻の旅寝の衣は薄いので、避けて吹いてくれ、夜の山風よ。」

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