天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水のうた(3/17)

  水のおもの深く浅くも見ゆるかな紅葉の色やふちせなるらん 
                    拾遺集凡河内躬恒
  雨ふりて庭にたまれるにごり水たがすまばかは影の見ゆべき
                   拾遺集・よみ人しらず
*庭たずみを詠んでいる。
  岩間より流るる水ははやけれどうつれる月のかげぞのどけき
                   後拾遺集後冷泉天皇
*岩間から流れる水と月のかげとの対比。
  ここにこぬ人も見よとて桜花水の心にまかせてぞやる
                    後拾遺集大江嘉言
*桜花と水の擬人法。大江嘉言(よしとき)は平安時代中期の歌人で、中古三十六
 歌仙の一人。
  天の原そらゆく月は一つにてやどらぬ水のいかでなからむ
                     千載集・藤原道長
  岩そそぐ水よりほかに音せねば心ひとつにすましてぞ聞く
                    千載集・守覚法親王
守覚法親王は、平安末期から鎌倉初期の僧。後白河天皇の第2皇子。
 和歌・書道に優れていた。
  武蔵野のほりかねの井もあるものを嬉しくも水の近づきにけり
                     千載集・藤原俊成
  水のうへにうき寝をしてぞ思ひしるかかれば鴛(をし)も鳴くにぞありける
                     千載集・和泉式部

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鴛鴦