天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

急逝の友へささげるヒットー大谷翔平

 この時期はMLBとプロ野球をテレビで観戦することが、毎年の習慣になっている。ただ長年の経験にない事件が、先日起きた。エンゼルスとレンジャーズの初戦が突然中心なったのである。NHK・BS1の画面に中止と出たのでびっくりした。天気の都合で中止になることは、たまにあるが、今回は選手が急死したために中止になったのである。大谷翔平(24)の親友であるエンゼルスのタイラー・スキャッグス投手が、遠征先のテキサスのホテルの部屋で死亡しているのが見つかったという(享年27)。原因は調査中とのことだが、事件性はないらしい。
 翌日の第二試合は、選手たちの総意でもあり、グローブライフパークにて実施された。エンゼルスの選手やスタッフたちの左胸にはスキャッグスの背番号「45」のワッペンが張られ、マウンドには「45」と描かれた。大谷翔平はベンチスタート。喪に服しているのかと思ったが、代打に立ってライト前にヒットを打った。粘った末の9球目、懸命に腕を伸ばしての右前打であった。試合は、4対9でエンゼルスが勝った。記者会見では、トラウトやアプトンたちが、スキャッグスのことを泣きながら語っていた。大谷は彼らの後ろで涙をぬぐっていた。
 翌日の第三試合もエンジェルスが2対6で勝利した。大谷は二塁打を二本打った。
 なお下の左写真は、大谷とスキャッグスが二人で、同僚のラステラをMLBオールスター大会への出場選手として投票を呼び掛けるキャンペーンの一場面である。ラステラはオールスターに選出されたのだが、レンジャーズとの第二試合において不運にも自打球を右脛に受け骨折、出場できなくなってしまった。なんともやりきれない。

  急死せしスキャッグス投手を悲しみて顎鬚剃りしオースマス監督
  急死せしスキャッグスにも見せたしとベンチの壁にユニフォーム掛く
  代打にて亡き親友に追悼の一打放てり大谷翔平
  急死せしスキャッグス投手の背番号45胸にエンジェルス勝つ
  トラウトのうしろで涙ぬぐひをり言葉にだせぬ大谷翔平
  急逝の友に捧ぐる追悼の単打、二塁打、好走塁も

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追悼スキャッグス (NHK-BS1のテレビ映像から)

[追伸]第四試合は、9対3でエンゼルスが敗れた。実は、急逝したスキャッグス投手 の先発予定であったのだが、替りに彼と親しかったキャニング投手が登板した。そして途中で逆転され交替となった。ベンチに帰ったキャニング投手は悔し涙にくれた。同僚たちが次々に慰めたが、涙は止まらなかった。
 この試合で、大谷は5打席2安打と好調を維持したが、キャニング投手の気持を思って、泣きたかったことだろう。