天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

果物のうたー枇杷(1/2)

 枇杷の原産地は中国南西部。日本には古代に持ち込まれたと考えられており、
主に本州南部や四国や九州に分布する。開花は11月〜2月、摘果を3月下旬〜
4月上旬。(参考:フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)

 

  しめやかに雨過ぎしかば市(いち)の灯はみながら涼し枇杷うづたかし
                     長塚 節
  枇杷の木にみじかき梯子(はしご)かかれどもとるとはかけしいまだ青きに
                     長塚 節
*なんともややこしい詠み方になっている。枇杷の木に短い梯子が掛かっている。
 枇杷の実はまだ青いのに、とろうとかけたのだ。という内容。

 

  大き枇杷もぎておとせば吾(わ)弟(おと)らが麦藁帽にうけてけるかな
                     北原白秋
  枇杷の新芽白く立ちたる御陵みちここを遠からず真弓の岡は
                     松村英一
*真弓の岡とは、草壁皇子が葬られている御陵を指す。奈良県飛鳥の南西部に
 あるらしい。

 

  冬かけて実をし結ぶと枇杷の樹はさしも寂しく花咲きにけり
                     植松寿樹
  苦しみて生きつつをれば枇杷の花終りて冬の後半となる
                    佐藤佐太郎
  枇杷の実の黄にいろづきし窓外の一木(ひとき)をりをり風にもまるる
                    佐藤佐太郎

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枇杷