千鳥のうた(4/6)
おりゐれば磯うつ浪に玉ゆらの戸わたる千鳥声ぞのこれる
正徹
かれす猶妻とふ千鳥声さむし河辺の茅原(ちはら)しも深き夜に
岡本宗好
*岡本宗好は、江戸前期の国学者。松永貞徳・中院通茂に学び、水戸光圀
に仕えた。
神山の夜半の木がらし音さえてみたらし川に衛(ちどり)なくなり
香川景樹
難波江や月かげさえてみだれ蘆の末こす風に千鳥鳴くなり
木下長嘯子
*木下長嘯子は、江戸前期の武将・歌人。若狭小浜城主。
友千鳥遠き神代のあととめてそがのかはらに今も鳴くなり
原 安適
*原 安適は、江戸時代前期-中期の医師,歌人。
あふみのみ打出の浜を夜行けば波うちぎはに千鳥なくなり
熊谷直好
*熊谷直好は、江戸後期の歌人。香川景樹に師事する。
千鳥鳴く堤の風を寒しとも我れは思はず思ふ子ゆゑに
落合直文
河かぜに千鳥ふかれてはたはたと打つや蘇小(そせう)が湯殿の障子
与謝野晶子
*蘇小は、校書と同じく芸者をさす支那名で、白楽天にある言葉らしい。
この歌は、京の芸子の住まいの様子を詠んだもの。