楽器を詠むー三味線
三味線は、胴の部分に猫か犬の皮を張って、棹の部分に三本の弦を張った代表的和楽器。太棹は義太夫、中棹は地歌・常磐津・清元、細棹は長唄・小唄 に用いられる。
松楓昼しづかなる庭の奥にこは清元の三味のね聞ゆ
正岡子規
*清元(節)は、三味線音楽のひとつで、浄瑠璃の一種。主として歌舞伎の伴奏音楽として用いられる。初代清元延寿太夫(1777年 - 1825年)が1814年に創始したもの。
瀟洒かつ粋で軽妙な音楽であり、特にその高音を多用する語りは江戸浄瑠璃の精髄を示すものとして広く愛された。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から)
雪の夜も稽古の人はやすまぬか三味線を弾く崖下の家
岡 麓
雪国のお酌は悲しほそぼそと音譜たよりに三味線をひく
内藤 濯
三味線の音もにはかに掻きくもり夕立すなり梅吉の家
吉井 勇
*「一天にわかに掻き曇り」に呼応して三味線の音もくもって夕立がきたのだ。吉井勇がある時期入り浸った京都祇園の料亭での一コマであろう。
三味線と笛とが鳴りて川下りしている舟の中より聞こゆ
浜田康敬
おのづから直身(ひたみ)洗はれゆく時間合奏三味線雨降るごとし
三川 博
*三味線の合奏となるとまさしく雨降るごとしであろう。体ごと(直身)洗われる気分になる。