天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

今年の五句十首

 令和元年の大晦日にあたり、今年のわが俳句と短歌の成果を一部ながらご紹介して、思い出としたい。

     銭洗ふ妻を見てをり初詣
     たらの芽をてんぷらにしてラム酒かな      
     新元号「令和」ことほぐ花見酒  
     紫陽花のなだるる先に由比ヶ浜
     墓じまひ決断迫る蝉のこゑ 

  百年がたちて得られし映像のブラックホール令和を前に
  人間の寿命限界百二十五歳となせり統計学は  
  膨張のすゑに宇宙は消滅す一千四百億年ののち 
  亡くなりし友の誰彼をなつかしむ五十年目の同窓会は 
  大化から二百四十八番目新元号は令和となりぬ
  令和なる「令」に権威をよみ取りて元号名にふさはずと言ふ 
  「和を以つて貴しとなす」新元号「令和」のもてる暗喩となさむ
  百年がたちて得られし映像のブラックホール令和を前に
  平成の最後の日には寿司を食べ令和明くればステーキを食ぶ
  過去のこと思ひ出だせば悔い多くやり直せねば鬱はふかまる


 やはり新元号が決まったことが大きな出来事であった。また前年に史上初めてブラックホールの映像が得られたことで宇宙についての関心が一層強まった。
個人的なこととしては、広島県の山奥にある先祖の墓地の今後について悩んだ。私が相続している山林の処置もあった。また東大計数工学科卒業有志の五十年目の同窓会が終わった数か月後に一人の友が亡くなった。その訃報を機に、次は私の番だというメールが飛び交ったことが忘れがたい。そして私自身終活を強く意識した年であった。
 明日から令和二年が始まる。あらたな歌枕を探索すべく、丈夫な心身を取りもどさねばなるまい。

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史上初のブラックホール直接観測 (webから)