天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

身体の部分を詠むー足(7/8)

  くるぶしの突起をなでて夜半を居りこれは骨、いづれただのしら骨
                       高野公彦
  青年の腓(ふくらはぎ)細く去り行けば生は黎明のごとく至らん
                       前田 透
*下句が分かりにくい。「生」とは作者の「生」であろうから、青年が立ち去ったあと、生き甲斐を感じた、ということになる。青年とどのような時間を過ごしたのであろう。

  さびしいよ、よよつと言ひて敷居口に片方の踵でバランスを取る
                       河野裕子
  両足が覚え込みたる農の道この石いつも左が踏みぬ
                       脇中範生
  靴と足のひと日の異和はやわらかな人色の薄き皮を破りぬ
                       源 陽子
*靴擦れが起きたのだろう。

  めぐりより闇揺れたたむことなきや蹠(あなうら)がいたくほてる夜半にて
                       遠山光
*足の裏がやたらほてる夜半に感じた感想であろう。闇が揺れて空間が折りたたまれる、とは特異な感性ではないか。

  ふたひらのわが〈土踏まず〉土をふまず風のみ踏みてありたかりしを
                       斎藤 史

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くるぶし