故郷を詠む(1/9)
故郷とは昔から関わりのある里のこと。➀自分の生まれ育った土地 ➁以前に住んでいた土地や家、よく訪れたことのある地 ➂古くなって荒れたところ、昔の都、古跡 ④留守宅 など。 印象に残るものには、花鳥風月、祖父母・父母、寂しさ・懐かしさ など。
こころゆも吾は思はずきまたさらにわが故郷(ふるさと)に帰り来むは
万葉集・笠 女郎
*「思いもよりませんでしたまた再び我が故郷に帰って来ようなどとは。」
君により言(こと)の繁きを古郷の明日香の川に潔身(みそぎ)しに行く
万葉集・八代女王
*「大君とのことであれこれと噂を立てられましたのを、故郷飛鳥川へ洗い清めにまいります。」
人はいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
古今集・紀 貫之
駒なめていざ見にゆかむ故郷は雪とのみこそ花は散るらめ
古今集・読人しらず
むかしべや今も恋しきほととぎす故郷にしもなきてきつらむ
古今集・壬生忠岑
*「昔が今も恋しいのか、ホトトギスはこの 「ふるさと」にも来て鳴いている。」
みよしのの山のしら雪つもるらし故郷さむくなりまさるなり
古今集・坂上是則
故郷にあらぬものからわがために人の心のあれてみゆらむ
古今集・伊勢
*「あなたの心は古里でもないのに、どうして私には荒れ果てて見えるのでしょう。」
作者・伊勢にとって故郷とは荒れ果てた土地という印象なのだろうか。