天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蕪村俳句と比喩―活喩(擬人法)(8/8)

     鴛や花の君子は殺(かれ)てのち
*花の君子(蓮の花)の枯れ果てた冬の池を流麗に泳ぐ鴛を詠んだ。

     らうそくの泪(なみだ)氷るや夜の鶴
     うぐひすの逢ふて帰るや冬の梅
     突留(つきとめ)た鯨や眠る峰の月
*漁師に突き刺されて浜に横たわっている鯨をこのように表現してみた。

     松も年わすれて寝るや夜の雪
     色も香もうしろ姿や弥生尽     
*弥生晦日の春の様子を、姿も匂いも後ろ姿を見せて離れてゆく美人の趣と見立てた。

     御所柿にたのまれ顔のかかしかな  
*たわわに実っている御所柿の傍に案山子がたっている様子をこのように解釈した。

     炭団法師火桶の窓より覗(うかが)ひけり  
     水桶にうなづきあふや瓜茄(うりなすび)     
     茨(いばら)老(おい)すすき痩(やせ)萩(はぎ)おぼつかな     

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本シリーズは、この回をもって最終とする。