天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

孫を詠む(2/3)

 初孫を抱いた時の感情は共通している。孫は一緒に遊んだり教えたりする対象であることも共通している。

  鉄の匂ひ染みし両手に抱き上ぐる初孫といふこの脆きもの
                       中村重義
  小さくて愛しき者よ初孫を抱きしむれば壊れそうなる
                       井関淳子
  孫のため買ひしおもちやを上野より提げてわが持つ大切にして
                       松村英一
  抱かれくる孫の尻(ゐさらひ)をさなしといへどをみなの肌あたたかし
                       岡野弘彦
  ひねもすを 曾孫にをしへ余年なし。火遁 水遁 壁ぬけの術
                       岡野弘彦
  この庭で手鞠(てまり)遊ばむ待ちがたく孫の童(こ)を待つ春のあけぼの
                       宮 柊二
  目の見えぬ老いたる人に二歳児の孫は玩具のラッパを吹けり
                      岡部桂一郎

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手鞠