天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

こころざし(3/3)

  霧ふかく真木立つ夜を壮年の奥ひとつなる意志の鳴りいづ
                         小中英之
  春過ぎてなお冷ゆる夜や時あらばわれに来よ一つの意志とよばむもの
                         井上美地
  たたかふとは銃を取るとは限らざり不義、貧、腐敗に真向かはむ意志
                         大津留温
  「意志」といふ語をきらきらと輝かせ「行くか」と問ひ来「行く」と答へつ
                         矢部雅之
  檜の山の枝差し交はす高みよりくるひかりあり素志たがはざれ
                         前登志夫
*「高みよりくるひかり」を見て、自分の素志(平素から抱いている志)に違いはないことを確認している。

  はるかなる道を思へば天涯に春かりがねの一条の素志
                         石井和子
*壮大で美しい作品。

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檜の山