天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

友を詠む(1/7)

 とも(友、共、伴、朋、侶)は、つれ、仲間のこと。語源は、朝鮮語「とんも」、中国語「とん(同)「とむ(党)」などとする説あり。
 友を詠んだ作品には、心に沁みるものが多い。

さ夜中に友呼ぶ千鳥もの思ふとわびをる時に鳴きつつもとな
                万葉集大神女郎
*もとな: わけもなく、しきりに。
「夜ふけに友を呼ぶ千鳥が、物思いの寂しい時にしきりに鳴いて私の心に染みます。」

  死(しに)も生(いき)もおやじ心と結びてし友や違(たが)はむわれも依りなむ
                万葉集・作者未詳
*おやじ: おなじ
「死ぬも生きるも共にと誓った友人同士が違うことなどありましょうか。私も教えに従いましょう。」

草香江の入江にあさる葦鶴のあなたづたづし友なしにして
                万葉集大伴旅人
春雨に萌えし楊(やなぎ)か梅の花友に後(おく)れぬ常の物かも
                万葉集・大伴書持
  たれをかも知る人にせむたかさごのまつも昔の友ならなくに
                  古今集藤原興風
  散らぬ間は花を友にてすぎぬべし春より後の知る人もがな
                  金葉集・源 有仁
  草枕このたびねにぞおもひしる月よりほかのともなかりけり
                    金葉集・忠命

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千鳥