天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

友を詠む(3/7)

  酒飲めば酔ひてたのしくなる友にひとり飲ましめ我は飯食ふ
                      窪田空穂
  凩(こがらし)を聴きておもふはすでに亡き友啄木がありし日のこと
                      吉井 勇
  よき友にたより吾がせむこの庭の野菊の花ははや咲きにけり
                      古泉千樫
  友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ
                      石川啄木
  老い友の 死にのいまはをまもりたる まごころびとを 忘れざるべし
                      釈 迢空
  明日香川(あすかがは)ありて激(たぎ)てどむかし来てなげきし友のうつつにはなし
                      中村憲吉
  あかつきをひさしく覚めて涙うかぶ友の誰よりもわれは幸あり
                      柴正田稔
  この友ありて今の我ありと言ひ出でて和む心は今のわが幸
                      柴正田稔

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野菊の花