天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

食のうたー蕎麦、うどん、ラーメン(1/3)

 蕎麦: 日本への伝来は奈良時代以前。農民が飢饉などに備えてわずかに栽培する程度の雑穀だった。古くは粒のまま粥にし、あるいは蕎麦粉を蕎麦掻き(そばがき、蕎麦練り とも言う)や、蕎麦焼き(蕎麦粉を水で溶いて焼いたもの。麩の焼きの小麦粉を蕎麦に置き換えたもの)などとして食した。蕎麦粉を麺の形態に加工する調理法は、16世紀末あるいは17世紀初頭に生まれたといわれる。

 

  喰ふそばの

  腹にたらふが、

  あぢきなし。

  遠遣(や)る心 さだまる如し        釈 迢空

*「心を遣る」には、➀心の憂さを晴らす。気晴らしをする。 ➁得意になる。思うままに事をする。 ➂心をその方にやる。思いをはせる。 などの意味がある。

この歌の場合は、遠くの方に思いをはせる、ということ。

 

  手打ち蕎麦大盛りを食ひしづまりし心をはこび神楽坂歩む

                       山本友一

  箸立ての箸抜きながら塩尻のそば一椀になごみゐたりき

                       岡井 隆

  どんぶりを抱へてだれにも見られずに立蕎麦を食ふ時が好きなり

                       岩田 正

  焼そばを昼食べながら泣いている桂一郎におのれ驚く

                      岡部桂一郎

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箸立て