天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

食のうたー蕎麦、うどん、ラーメン(2/3)

 うどん: 小麦粉を練って長く切った、ある程度の幅と太さを持つ麺、またはその料理。遣唐使奈良時代平安時代か)によってもたらされたという。

 

  夕餉にはうどん煮るとてその事を朝より待てりわれも子どもも

                       吉野秀雄

  風邪ひけば母がかならずとりくれし鍋焼うどん今日の昼餉(ひるげ)に

                       滝沢博夫

  うどん屋の饂飩の文字が混沌の文字になるまでを酔う

                       高瀬一誌

  男といふ性は峠を過ぎゆきて<赤いきつね>を啜りゐるなり

                       田島邦彦

*<赤いきつね>: 東洋水産が「マルちゃん」ブランドで製造・販売している和風カップ麺「マルちゃん 赤いきつねうどん」。

 

  こころよりうどんを食へばあぶらげの甘く煮たるは慈悲のごとしも

                       小池 光

  すきとほる汁のそこひにしろじろと夢のまたゆめ大阪うどん

                       小池 光

  すうどんのねぎの青さは空のやう すうどんと空 兵と空腹

                      池田はるみ

*すうどん: 素うどん。関西では、淡口(うすくち)しょうゆを使い、温めたうどんに熱いだしをかけたもの。昔はコショウ,梅が決りだったが,現在は刻みネギ,七味トウガラシを薬味にする。

 

  つゆの夜やきつねうどんのよろしさは相合傘のよろしさに似て

                      池田はるみ

*きつねうどん: かけうどんに甘辛く煮た油揚げを乗せたもの。江戸、明治期に大阪で誕生した。名称は、油揚げがキツネの好物とされている伝承に由来する。 

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あぶらげ (油揚げ)