天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

食のうたー食器(2/2)

  ゆえしらぬ涙は下る朝の日が茶碗の中のめしを照らせる

                     山崎方代

  かたわらの土瓶もすでに眠りおる淋しいことにけじめはないよ

                     山崎方代

  こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり

                     山崎方代

*作者の代表歌としてよく知られる。鎌倉瑞泉寺門前にこの歌碑がある。

 

  茶碗の底に梅干の種二つ並びおるああこれが愛と云うものだ

                     山崎方代

  寂しくてひとり笑えば卓袱台(ちゃぶだい)の上の茶碗が笑い出したり

                     山崎方代

 

 山崎方代: 山梨県右左口村に生まれた。16歳の頃、歌を始めたが応召で中断。戦闘で右眼失明左眼微視となる。生涯独身、放浪の歌人といわれた。

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ちゃぶだい