ゆえしらぬ涙は下る朝の日が茶碗の中のめしを照らせる
山崎方代
かたわらの土瓶もすでに眠りおる淋しいことにけじめはないよ
山崎方代
こんなにも湯呑茶碗はあたたかくしどろもどろに吾はおるなり
山崎方代
*作者の代表歌としてよく知られる。鎌倉瑞泉寺門前にこの歌碑がある。
茶碗の底に梅干の種二つ並びおるああこれが愛と云うものだ
山崎方代
寂しくてひとり笑えば卓袱台(ちゃぶだい)の上の茶碗が笑い出したり
山崎方代
山崎方代: 山梨県右左口村に生まれた。16歳の頃、歌を始めたが応召で中断。戦闘で右眼失明左眼微視となる。生涯独身、放浪の歌人といわれた。