天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

住のうたー家・庵・宿(8/14)

  秋の夜は山田の庵(いほ)にいなづまの光のみこそもりあかしけれ

                後拾遺集伊勢大輔

  あばれたる草の庵のさびしさは風よりほかにとふ人ぞなき

                   山家集西行

*あばれたる: 荒れ果てた。

 

  諸共(もろとも)にかげをならぶる人もあれや月の洩りくる笹の庵に

                   山家集西行

  さびしさに堪へたる人のまたもあれな庵をならべむ冬の山ざと

                  新古今集西行

  まばらなるしばのいほりに旅寝して時雨にぬるるさ夜衣かな

                新古今集後白河院

  稲葉ふく風にまかせてすむ庵は月ぞまことにもりあかしける

               新古今集藤原俊成女

*「稲葉に吹く風に鳴子を任せて住む田の仮の庵では、月がまことに番をするかのように洩れ入り、夜を明かしてしまったわ。」

 

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