天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

住のうたー家具・調度(1/5)

  くさむらを刈りしが庭よりのぼりきて或る影はふかく椅子に沈みぬ

                        葛原妙子

  ひとり去りひとりきたりて坐ること宿命として夜の椅子疲る

                        葛原妙子

*椅子の気持になるところが面白く、前衛的。

 

  運河はるかに海にそそぐを見て居れどこの椅子もやがて立ちて行くべし

                        斎藤 史

  椅子の上に体暖まるひと時のさきはひはいかなる形にてもよし

                        清水房雄

  いわし雲みちし真昼の空に向くいま平安の椅子を廻して

                        安永蕗子

  この椅子に涙ぐみつつゐしことも老いてののちにわれは思はな

                       上田三四二

  一脚の椅子しろくして闇ありきつねに疲るるあゆみといふは

                        小國勝男

*作者は、椅子に座っても疲れがとれなかったようだ。あゆみは人生を差しているか。

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椅子1