天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

住のうたー暮らし(1/5)

  久々の雨にしあれば桶に受く 島の暮らしもいつか身につき

                       岡本昭生

  三日(みか)四日(よか)の食となるべき蔬菜買ひ足のばしゆく秋となる海

                       温井松代

  うすらかに雪をのせたる枇杷の花眩しくさぶし暮らしというは

                       新免君子

枇杷の花期は、晩秋から冬(11 - 2月)。うっすらと雪をのせた光景は、たしかに寂しい。

 

  こぼしたる米たんねんに拾ひつつ盗(たう)のごときかひとりの暮らし

                       雨宮雅子

  生活に面(おも)伏すごとく日々経つつセルジュリファールの踊りも過ぎむ

                       田谷 鋭

*セルジュリファール: フランスのバレエダンサー・振付師。ウクライナ出身。「舞の神」と呼ばれた。

 

  生活のありやう変へて生きんなど易きが如く思ひつつ歩む

                       田谷 鋭

  生活の立たざりし日をあざやかに妻は記憶し我はも忘る

                       田谷 鋭

 

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枇杷の花