住のうたー暮らし(4/5)
新聞を詠んだ一連を以下にあげる。
火事に死にし少年文明(ふみあき)君の記事心にかかる四五日のほど
朝空を揺らしてわれら別れたりどこでも新聞を売る朝なりき
小野茂樹
*上句は、みんなが大きな声をあげて別れた、ということか。
夕刊の一紙はいまだ来てをらず花ひしめけりかなたの栗は
大西民子
*作者は複数の新聞を購読しているようだ。
ブラインド通す光の縞のなか不穏なる朝の新聞ありぬ
蒔田さくら子
一束の葱を包みし新聞の文芸欄読むバスを待ちつつ
中山 忍
時間差あり起き来る子らの一人一人朝刊はまづテレビ欄読む
新聞の見出しのやうな今日一日細かきことはみな忘れゐて
藤岡武雄
暖房の風に煽られ新聞の角が畳に浮くことのあり
大いなるロールに巻かれまだ何も印刷されてはおらぬ新聞
佐伯裕子