天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

手紙のうた(4/4)

  長き長き手紙を書かむと思ひしにありがたうと書けば言ひ尽くしたり

                      稲葉京子

  手書き文字の一字だに無き手紙を寄せ返事待つとぞ未知なる人が

                      辻下淑子

  いとけなきものに手紙を書く朝のひらかなばかり善きことばかり

                      高尾文子

*いとけなきもの: おさなくて小さい子供を意味する。

 

  「クロッカスが咲きました」という書きだしでふいに手紙を書きたくなりぬ

                      俵 万智

*クロッカス: 耐寒性の秋植え球根植物で早春に咲く。春が来た喜びの手紙を書きたくなったのだ。

 

  エアメール海を渡りて掌(てのひら)の上に小さな愛ある不思議

                      俵 万智

  妻をめとれとふるさと人のいふ文(ふみ)を酔ひて帰れる小夜(さよ)ふけに読む

                      吉田正俊

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エアメール