あの世のこと(3/6)
いかにせむわが後の世はさても猶むかしのけふを問ふ人もがな
*「私の死んだ後はどうしたものだろう。あの人の後世を弔う人がいなくなってもやはり、今日の忌日を弔ってくれる人がほしいものだ。」
後のよを思ひ置きけん呉竹のその末までも哀れとはみよ
*呉竹の: 世の枕詞になるが、この一首では縁語の働き。
さても身にむなしき鐘の行く末やただ後の世の夕暮の声
心敬
御(み)仏の足のあとかた石に彫り歌も彫りたり後の世のため
いしきだを花舞ひあがる春の日に後の世のごとわれは遊びぬ
*いしきだ: 石階。
後の世は果実と言ひし友ありき狂へる鳥のわれはついばむ
*友をついばむ、とは何を比喩するか?