天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

あの世のこと(3/6)

  いかにせむわが後の世はさても猶むかしのけふを問ふ人もがな

              玉葉集・建礼門院右京太夫

*「私の死んだ後はどうしたものだろう。あの人の後世を弔う人がいなくなってもやはり、今日の忌日を弔ってくれる人がほしいものだ。」

 

  後のよを思ひ置きけん呉竹のその末までも哀れとはみよ

                 玉葉集・慈道法親王

*呉竹の: 世の枕詞になるが、この一首では縁語の働き。

 

  さても身にむなしき鐘の行く末やただ後の世の夕暮の声

                        心敬

  御(み)仏の足のあとかた石に彫り歌も彫りたり後の世のため

                      正岡子規

  いしきだを花舞ひあがる春の日に後の世のごとわれは遊びぬ

                      前登志夫

*いしきだ: 石階。

 

  後の世は果実と言ひし友ありき狂へる鳥のわれはついばむ

                      水原紫苑

*友をついばむ、とは何を比喩するか? 

 

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