人の世の思ひにかなふ物ならばわが身は君におくれましやは
後撰集・藤原定方(三条右大臣)
暮れぬまの身をば思はで人の世のあはれを知るぞかつははかなき
新古今集・紫式部
*「今日の暮れない間の命で、明日の事が分からない我が身は思わないで、はかない人の世の哀れさを知るというのは、一方で、またはかない事です。」
人の世の掟は人ぞつくりたる君を思はむ我がさまたげに
片山広子
人の世のかなしみごとのあらはれて街くれば黒枠のこの道しるべ
上田三四二
*道しるべ: 道路の分岐点にあって,それぞれの道が進む方向・目的地・距離などを記し,旅行者の便に供したもの。道標の字を当てる。