天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

小春日和

 平地の紅葉も今が盛り。寒さがいよいよ身近になって外出もおっくうになるが、天気が良い日にはできるだけ太陽の光を浴びたいもの。そんな機会に詠んだ作品を以下にご紹介する。

 

     道の辺に思ひ出したり杜鵑草(ほととぎす)

     庭隅に十月桜さみしさう

     蜂の巣が近くにありと石蕗の花

     樹に鳴ける栗鼠を探せり石蕗の花

     うつり棲み子孫をのこす石蕗の花

     秋風の別れの声か楠の空

     冬到来大樹の梢震はせて

     笹鳴きにあたり見まはすベンチかな

     寄り添ひてニシキギ、ドウダンもみぢせり

     アスピリンその名と色の冬薔薇

     落葉掃く爆音庭にとどろけり

 

  バス停のベンチにあまた鳩の糞やる瀬なきまま立ちてバス待つ

  老衰しマットの上に横たはる犬にしゃがみて老婆話すも

  散歩にも行けなくなりし老犬はマットに寝て牙剥き唸る

  昼日中寝てばかりゐる老犬を見てはわが身の行方をうれふ

  庭隅の十月さくら咲くを見て自走ロボット(俣三郎)は車庫に納まる

  周辺の草木萎(しを)るる庭隅に白あでやかなアスピリンローズ

 

[註]アスピリンローズ

   1989年にドイツで作りだされた。薬品のアスピリンをイメージ、記念した

  最強健品種。限りなく白に近い淡いピンク色。四季咲き。花もち良く、多花性種

  で一房に15~20輪の花が咲く。

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アスピリンローズ (俣野別邸庭園にて)