天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新年、年の始め(1/2)

 謹賀新年! 今日から令和三年が始まる。元号は、中国で創始された紀年法の一種だが、現在は日本のみで制定、使用されている。日本における元号の使用は、大化の改新の時。

 以下では、「新年」「年の始め」という言葉を使った作品を集めてみた。

 

     はる立(たつ)や新年ふるき米(こめ)五升(ごしやう)         芭蕉

     新年の壁に吊るせり草箒        穴井 太

     新年の雲山刀伐(なたぎり)を越えてくる      中島松涛

山刀伐峠: 峠の形状が、山仕事や狩りの際に被った「なたぎり」に似ていることから名付けられた。刀を持った山賊がいて、道行く人を襲撃しては身ぐるみを剥ぐ危険な峠であったという伝説がある。芭蕉曾良は、この“最大の難所”を越えて、尾花沢市へ向かったことが「おくのほそ道」に書かれている。

 

     女の手年の始の火を使ふ        野沢節子

 

  新(あらた)しき年の始の初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)

                    万葉集大伴家持

万葉集の代表的有名歌。

 

  新(あらた)しき年の初めはいや年(とし)に雪踏み平(なら)し常(つね)かくにもが

                    万葉集大伴家持

*「新しい年の初めには、来る年も来る年も、雪を踏みならして、いつもこのように賑わしく集まりたいものだ。」 集まりたいものだ、という訳は、歌の左注を考慮したもの。

 

  あたらしき年の始めにかくしこそ千年をかねてたのしきをへめ

                   古今集・大歌所御歌

*「新しい年の初めに、このように千年もの先の繁栄を心に思い描き、「楽し木」という木を積み上げよう。」 

f:id:amanokakeru:20210101065618j:plain

山刀伐峠