天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

新年、年の始め(2/2)

  いく万の研究カードに新年(にひどし)のひかりさすときこころひらめく

                        木俣 修

  新年(にひどし)は楽しきものか老いてなほをみなを語るわが痴愚(ちぐ)もまた

                        吉井 勇

  昨年(さくねん)のいつ落ちしにや新年の影もちてまろぶ松笠二つ

                        宮 柊二

  八十三の母が化粧袋より取り出だすものぞ匂はしき新年けさは

                        河野愛子

  鯛の歯のいとましろなるギザギザを灯の下にみつむ年の始に

                        河野愛子

  新年の四日の雨の地に注ぎ石ら音なく泥浴びはじむ

                        島本正靖

  あらたまの年のはじめの声出(こわだ)しの息松の香を深く吸ひたり

                       馬場あき子

*作者は古典や能に対する造詣が深く、喜多流に属し、演舞も新作能の制作も行っている。

 

  雪ふかき 睦月の森にこだませり。新年(にひどし)をほぐ 父のかしは手

                        岡野弘彦

*岡野家は、代々神主の家系。

 

  何事もなく改まり庭にみつミレニアム新年の朝の光は

                        秋葉四郎 

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松笠