天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

将棋

 将棋の起源は、紀元前2000年ごろの古代インドのゲーム「チャトランガ」で、そこから世界各地に伝わったといわれている。

 

  目を病める人は将棋の半にて昼あつき部屋に電燈を点(つ)く

                          土屋文明

  レーニンもカールマルクスもともどもに将棋好みしといふは面白し

                         大熊長次郎

  はじめより左隅にありて動かざりし角将の威力あらはれ来たる

                         大熊長次郎

  仕事替へられし心たかぶりに将棋盤買ひ将棋おぼえむと思ひし日ありき

                          小暮政次

  生(いき)々となりしわが声か将棋さして少年のお前に追ひつめられながら

                          森岡貞香

  長男と次男が将棋さしてゐる室を立ち来ぬ所在なきわれは

                          五味保儀

  勝負には容赦はなしと追ひつめし王の頭に金を打ちたり

                          奥村晃作

  嘆息して我は見てゐる人老いて若きに負けゆく新聞将棋

                         柴生田 稔

  封じ手の眠る一夜をしみじみと銀河傾き秋深むなり

                         馬場あき子

  わが一手にパーソナルコンピューターが二・三秒考へしのち答を出しぬ

                          石橋妙子

  敗戦のいよよ濃くなる秋の野に桂馬けな気に嘶きにけり

                         佐佐木幸綱

  十七歳になれるむすめとをりをりに将棋さすことあるさいはひよ

                          小池 光

  持駒は歩(ふ)ばかりといふなたいせつな一歩のちからの草の人生

                          十鳥敏夫

  競売に高値つきたり最年少藤井聡太封じ手のメモ

                         秋田興一郎

 

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将棋