天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌麿とは(1/4)

 たまたま喜多川歌麿に関する本を入手したので、歌に詠んでみたくなった。彼の生涯については、各種百科事典を参照・引用した。

歌麿は、1753〜1806(宝暦3年〜文化3年)美人画の代名詞的な浮世絵師。当初は黄表紙や洒落本などの挿絵を描く。ついで役者の大首絵を美人画に採用、豊かな女性の表情を捉えた画風により、寛政期、鳥居清長と並ぶ美人画の第一人者となった。

 

  歌麿の一生おもひておもむろに浮世絵ひらく新幹線に

  禁制の大首絵なりまた描ける紫屋(むらさきのや)に手鎖の刑

*大首絵: 江戸時代に描かれた浮世絵の様式のひとつ。歌舞伎役者や遊女、評判娘などを半身像や胸像として捉えて描いた浮世絵版画。

 

  蔦重と組みて世にだす大首絵年増女は春を愁ふる

*蔦重: 版元蔦屋重三郎

 

  美しき茶屋の娘の大首絵摺るほどに売れやがて禁制

  手鎖の刑にもめげぬ歌麿の心しのばゆむらさきの色

  ああ雪が降っていたのね 抜け出せば障子に映る酒宴の男女

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大首絵