刃物を詠む(1/8)
剣大刀(つるぎたち)
片刃の物を刀。両刃であるものを剣と呼びそれらひっくるめて剣と呼ぶことが多い。
太刀: 平安時代から戦国時代にかけて一般的に使用された日本刀の一種。その語源は「断ち」から来ていると言われる。太刀は馬に乗ることができる身分の高い者が持つ刀であるとされる。(百科事典)
うち鼻ひ鼻をそひつる剣刀身に副ふ妹し思ひけらしも
万葉集・作者未詳
*鼻ひ: 「くしゃみ」のこと。
「くしゃみが何度もでるので、あの人が私のことを思ってくれているらしい。」
剣大刀いよよ研(と)ぐべし古(いにしへ)ゆ清(さや)けく負ひて来にしその名を
*「つるぎたちをますます励み研ぐべし。既に神の御代から、さやかに武勲の名望を背負い立って来たその家柄であるぞ。」
他国(ひとくに)に結婚(よばひ)に行きて大刀が緒もいまだ解かねばさ夜そ明けにける
万葉集・作者未詳
*「よその国に妻問いに行って大刀の緒を解きもしないうちに夜が明けてしまったよ。」
銀(しろがね)の目抜の太刀をさげはきて奈良のみやこをねるや誰が子ぞ
拾遺集・神楽歌
*「銀の目貫の飾りがある太刀を下げ佩きながら、奈良の都を練り歩いているのは誰の子であろう。」
あさましや剣の枝のたわむまでこは何のみのなれるなるらむ
金葉集・和泉式部
*剣の枝: 地獄に生えているという剣の樹の枝。 「つるぎ」に木を、「身」に実の意を掛けた。一首の浦の意味は、
「なんてひどい。剣の枝がたわむ程に身を貫かれて、これは一体どんな罪を犯した人がこうなったのであろう。」
[注]このシリーズでも参考にあげている画像は、WEBから借用したものが多い。出典の記載は煩雑を避けて省略している。