天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

火山、温泉(2/4)

  沼のうへ重くくるしき隆起あり泥火山にて泥塔をなす

                        佐藤佐太郎

泥火山: 地下深くの粘土が、地下水やガスなどとともに地表に噴出、堆積した地形。

 

  火山灰(よな)熄まず刑おもりゆく町々か寺院の如く声をのむ枝

                         浜田 到

  セントヘレンズ噴火の灰があはれあはれ世界諸国に散りてゐるとぞ

                         秋葉四郎

*セントヘレンズ: 米国ワシントン州スカマニア郡にある大型の活火山。最近では1980年5月18日に大噴火を起こした。

 

  鼻先に人参見せて移送車へ馬誘ふ人に噴火は迫る

                         高橋誠一

  火口壁を降りゆきし若者かへり来てそれよりいたく無口となりぬ

                         斎藤 史

  わがうちに在る火山群いただきのみな欠けしまま冷ゆるほかなし

                         斎藤 史

*この歌の火山群は、作者の抱いているいろいろな主張や希望あるいは憤懣の比喩であろう。

 

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セントヘレンズ