火山、温泉(3/4)
足柄の土肥の河内(かふち)に出づる湯のよにもたよらに子ろが言はなくに
万葉集・作者未詳
*上句は湯河原の温泉をさす。
「足柄の土肥に湧く温泉のように、二人の仲は絶えることなどない、とあの娘は言うのだけれども」
つきもせず恋に涙をながすかなこやななくりの出湯なるらむ
後拾遺集・相模
*ななくりの出湯: 別所温泉のこと。信州で最も古い歴史をもつ温泉の一つであり、有馬温泉、玉造温泉とともに日本三大名泉。
たぎり湧くいで湯のたぎりしづめむと病人(やまうど)つどひ揉(も)めりその湯を
渓(たに)おくの温泉(いでゆ)の宿の間(ま)ごと間ごと人も居らぬに秋の日させり
もみぢ葉はてりつつ寒き山を見て濁る温泉にからだしづめむ
*初句二句のつながりが独特。
此の山の温泉(いでゆ)よろこぶ君がへに左千夫歌集も編みにしものを
箱根山出で湯めぐりのかへるさに秋なく虫のこゑをきくかな