田畑のうた(7/8)
桃の木はさびしき冬木となりをはり畠に灰を捨てて人去る
小暮正次
菊畑に鋏の音のいつまでも鳴り夕靄は谷田(やつだ)を埋めぬ
大野誠夫
篁が夕日をはじき麦畑が青くいろどる冬枯るる野を
結城哀草果
*篁(たかむら): 竹が盛んに生えているところ。たけやぶ。
四つんばいに天をみるかな天ちかき村と呼ばれてつづく焼畑
*焼畑: 山林・原野を伐採してから火をつけて焼き、その灰を肥料として作物を栽培する農法。また、その畑。(辞書による)
ふる雨に明るくつづく桑畑ここの台地は古代にか似ん
佐藤佐太郎
耕して天にいたらむ段畑もしづけかりけりみ冬の島山
葛原 繁
吹き晴れて菜畑低くひかる道きのうの雨の水たまり越ゆ
桜井登世子
雪炎(ゆきほむら)過ぎて菜畑の黄の炎 風はさびしきあそびをなしつ
斎藤 史