天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大樹を詠むー序

 日本の巨樹・巨木について、環境省が調査している。地上から130cmの高さで、幹回りを計測して、巨木ベスト10をあげている。次のようなもの。

https://tabi-mag.jp/bigtree/による)

 1位: 蒲生のクス(鹿児島県姶良市) 24.22m。

 2位: 来宮神社の大楠(静岡県熱海市) 23.90m。

 3位: 北金ヶ沢イチョウ青森県深浦町) 22.00m。

 4位: 川古のクス(佐賀県武雄市)、本庄の大クス(福岡県築城町) 21.00m。

 6位: 武雄の大クス(佐賀県武雄市)、衣掛のクスノキ(福岡県宇町) 20.00m。

 8位: 柞原八幡宮の大クス(大分県大分市) 18.50m。

 9位: 隠家のクスノキ(福岡県朝倉町) 18.00m。

 10位: 志布志の大クス(鹿児島県志布志町)、大谷のクス(高知県須崎市)17.10m。

 

これを見ると3位のイチョウを除き、すべてがクスノキである。楠については、別途取り上げる。以下では木の種類が分からない大樹を詠んだ作品を。

 

  大木の根こそぎたふれし道のべにすがれて赤き曼殊沙華の花

                       古泉千樫

*すがれる: 末枯れる。草木が盛りの季節を過ぎて枯れはじめる。

 

  むさぼりて朝の光を受けて生くる樹の梢(うれ)見上げ歩む明るさ

                      佐佐木治綱

  幾千の鳥ら葉かげにひそませて巨木一向に知りもせぬ如く

                       中河幹子

  片がはに夕日を受けて輝ける樹が見ゆあたたかき魂が見ゆ

                       藤井常世

  風中の大樹笑ひておうおうと見送る種子ぞ北へ赴く

                       川野里子

  野の中にすがた豊けき一樹あり 風も月日も枝に抱きて

                       斎藤 史

 

 ちなみに漫画家の水木しげるは、多数の巨樹の写真を撮影、それらの精霊を捉えた。

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遊行寺の大銀杏