天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花海棠

 花海棠(ハナカイドウ)は、バラ科リンゴ属。一般に「カイドウ」とも呼ばれて、日本では広く北海道南部から九州まで栽培されている。落葉果樹で、原産地は中国。唐の玄宗皇帝が酔って眠る楊貴妃をハナカイドウにたとえた。

 大きな実を付けるミカイドウ(ナガサキリンゴ)に対して、花柄が長く垂れ下がることから別名スイシカイドウの名がある。単にカイドウと呼ばれることが多い。4~5月に咲く花は半八重が基本で、下向きに咲く。春の季語。(百科事典から)

 

     海棠や雨をはらめる月二夜       紫暁

     海棠の雨に愁眉をひらきたる    行方克己

     土牢や身に海棠の雨を受く     深谷雄大

     藤村の蔵書の数や花海棠      寺嶋艶子

 

  河豚くうていのち死なまし海棠に春うつくしく雨のふる日や

                      太田水穂

  額(ぬか)しろき聖(ひじり)よ見ずや夕ぐれを海棠に立つ春夢見姿

                     与謝野晶子

  海棠のはなびら紅(あか)く散るところ地に幼虫は這ひ居たりけり

                     岡本かの子

  くれなゐのつぼみはひらきあはあはとなりゆくまでの山の海棠

                      福田栄一

  はろばろとなりゆく人か海棠の花咲きそめし庭にわかるる

                      岡野弘彦

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花海棠 (横浜俣野別邸庭園にて)