乗りもののうたー自転車(3/3)
自転車をナジャと名づけてあしたまで駅の早霜に打たせて置かむ
岡井 隆
おぼれゐる月光見に来つ海号(うみがう)とひそかに名づけゐる自転車に
伊藤一彦
*上句が分かりにくい。自転車が月光におぼれているように見えるなら分かるが。
自意識に苦しむやうにキイキイと我が窓下をよぎる自転車
矢部雅之
バックシートに畳まれてゆく自転車のむらさきの首ぐらりと折れつ
飯沼鮎子
*折り畳み式の自転車の様子であろう。
空気圧少なくなりし自転車の抵抗感に疲れてゐたり
高貝次郎
*タイヤの空気が抜けてきたのでのであろう。地面から伝わる抵抗感が心地悪いのだ。