乗りもののうたーオートバイ
オートバイは、オートバイシクル(自動二輪車)からきた和製英語。明治35年にアメリカからエンジン付き自転車「トーマス」が輸入された当時は英語と同様に「モーターサイクル」と呼ばれていた。大正12年に月刊誌『オートバイ』が発売されて以来、「オートバイ」という呼び方が日本人に広く認知されるようになったという。
冬海に横向きにあるオートバイ母よりちかき人ふいに欲し
傾きてありたるバイク直立し少年を乗せて忽ちに去る
大西民子
夕光を浴びて帰りしオートバイ今火照りたる翼を休む
浜田順子
岸の杭結び目ゆるむ夏川に銀のオートバイ捨てられてあり
佐波洋子
ナナハンを駆りて暴走してきたる雷(いかづち)の子らに髭はありたり
馬場あき子
*ナナハン: 公称排気量750ccの大型自動二輪車の日本における俗称。
騒がしい音を立てて猛烈な速度でオートバイを走らせる若者たちは、暴走族とか雷族と呼ばれる。
地下街に並ぶハーレーダビッドソン両生類のごとくに光る
大森智子
*ハーレーダビッドソン: 米国のオートバイメーカーまたその製品の略称。会社は、幼馴染のウィリアム・S・ハーレーとアーサー・ダビッドソンにより1903年にウィスコンシン州ミルウォーキーで設立された。ハーレーダビッドソン車の最大の特徴は、大排気量空冷OHV、V型ツインエンジンがもたらす独特の鼓動感と外観であり、これに魅せられた多くのファンがいる。
春の耳欹(そばだ)てをれば花便り積むや郵便バイクの止まる
吉濱みち子