天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

乗りもののうたー自動車(1/4)

 自動車は、18世紀に蒸気機関を用いた蒸気自動車として登場した。その後、ガソリンを動力源(燃料)とするものが主流になるが、最近では電池を搭載した電気自動車が重きをなしつつある。運転については、人工知能にゆがねる自動運転が実用段階に入ってきている。

 

  ばらばらにされたる玩具の自動車とわれとの夜かふとも思えば

                       武川忠一

  ゆきすぎてなににはかなし人をらぬ自動車が楽をかけてとまれる

                      上田三四二

  わが自動車(くるま)岬を走る三面の硝子に黒きうしほの層

                       葛原妙子

  救急車影なき路上走るとき尻尾の如きもの引かざるも

                       葛原妙子

*路上に救急車の影も映っていないのだろう。下句は当たり前か。

 

  消防車のするどき響すぎてのち短くたえまなき常の警笛

                      佐藤佐太郎

  消防車光り輝き歓びへ馳せゆくごとし遠き昼火事

                     蒔田さくら子

*昼の遠い火事は、悲惨というより好奇心を掻き立てるところがある。

 

  鐘鳴らし塵芥車行くうしろより心決まらぬわが歩みゆく

                       山崎一

 

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塵芥車