天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

乗りもののうたー航空機(3/3)

 飛行船: 空気より比重の小さい気体(水素やヘリウム)をつめた気嚢によって機体を浮揚させ、これに推進用の動力や舵をとるための尾翼などを取り付けて操縦可能にした航空機。1852年にフランスのアンリ・ジファールによって蒸気機関をつけた飛行船の試験飛行が成功した。

 ヘリコプターという名前は、ギリシャ語の螺旋 (ヘリックス) と翼 (プテロン) に由来する。グライダーは、滑空のみが可能な航空機。(以上、百科事典から)

 

  かぎろひの春の真(ま)日(ひ)照る大空ゆ斜(ななめ)になりて来る飛行船

                      尾山篤二郎

  突然に大き飛行船あらはれて音なくうつる蛇崩の空

                      佐藤佐太郎

 

  不吉なる音の近づくやうなときヘリコプターの飛ぶ音を聞く

                      佐藤佐太郎

  訓練のヘリコプターが吊り上げるかたまりは長き髪つけており

                       高瀬一誌

*人命救助の訓練であろう。下句からは女性の人形を吊り上げているように思える。

 

  グライダーにたそがれの風謳わしむこころ老いたる青春のため

                       寺山修司

*たそがれの風の中を飛んでいるグライダーを見ての心情を詠んだ。

 

  あくまでも空気の中に存在し飛行船あり春の現(うつつ)を

                       小池 光

 

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飛行船