天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

戦争を詠むー戦い(6/6)

  幾千の眼(まなこ)のまへに黒潮はをとこを戦(いくさ)へおくりたる路

                        小黒世茂

  アラビアン・ブルーの海はひたすらに光りてをりぬ戦あらしむな

                        藤岡成子

  「戦(をのの)き」も「戦ぎ(そよ)」もあるをまどふなく「戦(いくさ)」と

  読みて徒労感濃し             斎藤すみ子

 

  熱いお茶に淹れかへようか遠国の戦さがどうやら終りへむかふ

                        林 和清

  妻枕(ま)かず戦の野に曝れゆきし兄よふるさとの野の花を見よ

                       青木ゆかり

  この児らを戦にかり出すことなかれ傘を振り振り下校してゆく

                        島津忠夫

  ものしづかに暮れてゆく春ふたたびをいくさはあるな地平は緑

                        伝田幸子

 

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黒潮