恋(6/13)
ややありてふたたびもとの闇となる花火に似たる恋とおもひぬ
吉井 勇
*上句は花火にかかる序詞。言いたいことは下句。
忍ぶ恋見ぬ恋恋のあはれさのかずかずを取り集めたる恋
吉井 勇
*「恋」のリフレイン。あわれさで恋を分類できるのかも。
赤き色のマツチの軸の火が赤し恋はほのかに遂げしめ給へ
山崎方代
*作者は、マッチのように燃え上がる恋は苦手のようだ。
一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております
山崎方代
恋に死すてふ とほき檜のはつ霜にわれらがくちびるの火ぞ冷ゆる
*初句の具体的内容を、二句以下の情景で示した構成。
恋や恋 われらにさむき砂婚てふ中空の星なべて火の砂
*難解! 二句以下で恋のひとつの解釈を示しているようだが。宇宙から見た地球上の恋を詠んだように思える。
時間てふ沼のさざなみ青年は戀のはじめにして老い兆す