天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

諷刺(2/10)

  女房の性情をすら変えられずユーモアのつもりにて「余録」氏記(しる)す

                      阿木津 英

  撫でさすり洗い清めて育てれば気品の高き豚となりたり

                       王 紅花

  床下に水たくはへて鰐を飼ふ少女の相手夜ごと異る

                       松平修文

*夜毎異なる相手と過ごす部屋の床下に、少女は鰐を飼っているという。鰐の役割は?

 

  冀(こいねが)うこともなくなり巷ゆく今日ふところに福沢諭吉

                      石田比呂志

福沢諭吉は、世俗から離れた生活態度を示唆していよう。

 

  人間とて金と同じでさびしがりやですから集るところに集る

                      石田比呂志

  「歌はリアルでなければならない」と言ふ男の背丈美しからず

                       永井陽子

  わたくしはどちらも好きよミカエルの右の翼と左の翼

                       紀野 恵

*ミカエルは、彼はユダヤ教キリスト教イスラム教においてもっとも偉大な天使の一人。

右の翼と左の翼がそれぞれ何を比喩しているのか。異なった性格を示唆しているようだが。

f:id:amanokakeru:20210721063950j:plain

鰐 (WEBから)