天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

諷刺(5/10)

  歌壇名簿にわが名洩れしは鬼籍にも入れられしかと某女さわげり

                        岩田 正

  真夜中の無人工場ロボットがロボットを作る音の不気味さ

                        大平勇次

*結句「音の不気味さ」が効いている。

 

  言語二種喋れるやうな気になりて白梅紅梅の林を出づる

                        大森益雄

  こらへ性なき若者に来む老を愉しみてながき沈黙をせり

                        竹山 広

  さはれ八月わが頭上にも声ありき「此(コ)ノ星ノ名ヲ苦艾(ニガヨモギ)ト言フ」

                         塘 健

*下句のことは聞いたことがない。出典は何なのか?出典は何なのか?(新約聖書ヨハネの黙示録?)

 

  うづたかきポルノヴィデオの前ここぞ現代風都麻碁微能夜幣賀岐(つまごみのやへがき)

                         塘 健

*塘 健: 1951年生まれ。「玲瓏」に所属し、塚本邦雄に師事。師譲りの主知的かつ耽美的な作風が特徴である。第28回角川短歌賞を受賞。

 

  声黄いろ恥は赤いろ吐息には青色のあり税金払う

                        岩手康子

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苦艾(にがよもぎ)